あの人の論文集

先日、コミックマーケット78なる催し物が開かれたのですが、その中に気になるサークルが。
その名も「あの人の研究所」。
趣旨としては

技術を無駄遣いすることによって情報科学研究とコンテンツの分野の双方に新しい刺激を与えている,と判断された選り抜きの論文25件をまとめた研究論文集!

というもの。ちなみに、論文の応募総数は90本台らしいので、通ったは4分の1。並みの論文誌より採択率が低いそうです。
VR/AR(ヴァーチャル・リアリティ/アウグメンテッド・リアリティ)、拡張現実と呼ばれる技術を使っているのがミソ。
例えば「紙をカメラで写すと、その上に3Dの初音ミクがうろついている。絵に物をかざすと、初音はそこへ歩いていって手に持ったネギで絵の上にあるものを叩く」という作品。
こう書くとなんのこっちゃか分かりませんが、つまるところ、現実には絵のうえに物が置いてあるだけなのです。ところが、それをコンピュータにつないだビデオカメラで映すと、違った世界が現れるのです。コンピュータがカメラと絵の相対的な角度を認識して3Dのキャラクタを正しい角度で配置し、あまつさえそのキャラクタを動作させるような動画としてテレビに映すことが出来る。
これまで、このような動画を合成する場合はブルースクリーンなどを使っていました。コンピュータに「青は背景だからそれ以外を切り出すように」と指定することで、別のところで撮影した背景と合成していたのです*1。そういう設備無しで、それも人間様が細かい調整をせずにできるようになり、しかも合成したものが自動的に動作するのだと考えていただければ良いかと思います。
ま、論より証拠で、こんな感じになります↓

で、コミケにはいけなかったのですが、この論文集欲しいなと思ったら、なんとゲットしてしまいました。ええ。残部が売られていたのです。
読むのが楽しみです。

*1:勿論、青だけでなく別の色を使うこともありますし、現代の技術をもってすれば複数のカメラで、複数の角度から撮影しても、視聴者に違和感無く合成できます。裏方のおじさんたちが頑張っているのです。