最強のふたり

最強のふたり」というフランス映画がありまして、それを見てきました。
大雑把にいえば、事故で首から下の感覚を失った金持ちの白人(フィリップ)を、健康だけが取り柄のような貧民街の黒人(ドリス)が介護する、という話です。
名前といい、社会階層や人種といい、くどいくらいにテンプレートな構成ですが、だからこそ人間性をうまく描けているという感じがしました。ふたりの出会いからして、失業手当をもらうために不採用になろうと介護の面接を受けに来たドリス*1、という筋書きです。
芸術に造詣の深いフィリップが、ドリスのうちに宿る何かに興味を持って雇ったのかは知りませんが、ドリスの「障碍者障碍者として憐れまない」という態度が、かえってフィリップに救いをもたらしたように思われます。フィリップにとっての自分自身とは、障碍者として憐れまれる存在ではなく、それを実現したのがドリスだったのだと思います。

*1:フランスの法令は知りませんが、就職活動をして月当たり何件不採用になると失業手当が出る、というルールらしい。