人は増やすけど椅子は減らすよ!

何やら博士号を持ってる人が少ないから増やすよ!という政策が出ているようです。そもそも需要もないのに増やしてもしょうがないと思うのですが、進学率が低いとか諸般事情があるらしく、博士課程学生の授業料と入学金の全額免除とかやったらどうだろうという話が出ていたようです(日経:博士課程の授業料・入学金免除を提言 自民調査会 )。
その一方で、一部の国立大学の教員1500人程度を外国人に置き換えるという話も出ているようです(NHK:首相 成長戦略で目標を設定へ)。
両方をつなげると博士は増やすけどポストは減らすよという話になり、何が何だかわかりません。もともと、研究職にでも就こうとしない限り博士号を持ってることにメリットはありません。メーカーの研究開発職ですら修士と博士で初任給を分けているところの方が少ないです。初任給その他見かけの採用条件が同じでも、博士の方が採用される率は高いといった、目に見えないところで優遇はあるようですけど。まあそういうわけで、博士号を持っている人の需要はそんなに高くない。それなのに教員の採用枠がいじられるわけです。3年で1500人という量だと短期的にものすごく採用が抑圧される気がするのですが、上手いことバランスを取れるのでしょうか。そもそも日本の国立大で働きたいという外国人研究者が1500人もいるのかと言う疑問もあります。「国内の大学を世界に勝てるものに」するために雇うのですから、研究者としては実績のある人を雇うことになります。でも、そういう人たちの給料は割と高いですし、日本の国立大の場合は雑務が多くて研究に専念できません。大学の事務は日本語ベースなので、代わりに日本語の事務をやってくれる人も追加で雇わない限り不正防止のための面倒な会計システムで業務が止まります。そんなわけで、給料は減るけど雑務は増えるし英語が不自由な職場へ海を渡ってはるばるやってくる物好きな(でも能力の高い)外国人研究者っているんですかね*1
そもそも「世界の大学と張り合うために優秀な研究者を海外から招へいする」という目的を達成するなら、1500という人数ではなく、トップレベルの研究者を人件費青天井で何が何でも数人ヘッドハントしてくる方が効率良い気がしますけどね。3年で1500人の方が具体的に数字を出した感じがして見栄えがするのでしょうか。

*1:まあ、雑務が負担になっているのは、小泉改革以来の予算減額で大学が直接雇用している(学生実験の仕切りから事務仕事までやってくれる)助教が減っているせいでもあるようなので、単純に人件費を増やしてくれれば研究者が研究に専念できて競争力も増える気がします。