研究のサイクル

出張から帰ってきて、今後の研究の方針というか、博士課程の成果のうち論文誌に投稿してボツになった分の再投稿の方策を考えていたのですが、何とかできないか考えておりました。研究のサイクルというのはなかなかうまく回らないものです。
研究活動というのはつまるところ自転車操業でして、まず過去の研究結果やよその研究者の成果を調べながら次の研究課題を見つけます。次にその研究課題の予算を組んで、実際に調査したり実験したり解析したりといわゆる研究を行います。最後に研究の成果をまとめて学会で発表したり論文誌に投稿したりして、自分の成果を世に出します。
研究の成果をスポンサー様にだけ知らせるという契約もありますが、大抵の研究予算は成果を世に公開せねば実績として認められません。研究成果を公表するということはライバルの研究者たちに自分の真似をしてほしいわけです。自分の成果が誰かの目に留まり、それがさらなる発展につながることを祈って、研究者は自分の成果を世界にさらすのです。
そういえば、某理研は再現実験をやっていますが、本当は監視カメラや立会人などを用意する必要もなく、理研の外の研究者が真似できるよう文章や図表を使って説明すればよいだけなのです。あの再現実験というのは、説明に必要な資料がなく、それを用意するためにやらざるを得ないからやっているのではないかと思います。そういった、資料をきちんと残しておく習慣を持たないからこそ、認定された不正を単純なミスにすぎないと平気な顔で強弁できるのでしょう。
資料を残しておくということは、とりもなおさず証拠を残すということですから、後世への資料としてだけではなく、自らの勘違いはおろか魔がさして不正を働くことをすら防げるわけです。「自らを律する」と書くと古いですが、それさえできていれば、原因が不正にしろ事故にしろ起きずに済んだ事件だと思うと同時に、それができない人物がなぜ博士号を手に入れてあまつさえ優秀な若手研究者と目されていたのかと不思議でなりません。