とりあえずリレー小説を終わらせたいのでちゃちゃっと終わらせます。

  • これまでのあらすじ

寒村に住む少女ケイトは、ある夜、サンタクロースの訪問を受ける。
こともあろうにサンタさんは道に迷っていて、プレゼントの受け取り主であるベティの住む町を写した写真は、最前ケイトがおじからもらった絵葉書の裏面と一致していた。
ケイトはさらにサンタの正体がおじさんであることを見抜いていたものの、口には出さずに二人でベティを探すたびに出る。
道中、ケイトは幼少期にベティの母親であるサラと会っていたことを思い出す。
サラとケイトが分かれた場所、雪達磨駅で、二人は再会した。
サラはなぜかケイトのことをよく知っているようだった。
全ての秘密が、今彼女たちの行く手に現れる!(全十五話中十三話まで)

  • 第十四話、酔っ払った男

「そんなまさか!」
列車が目的地に着いたとき、サラは叫んでいました。ケイトは、始めその汚らしい酔っ払いが誰だかわかりませんでしたが、サラの言葉でようやく気づきました。
「何であなたがいるの!ニック!」
ニックと言うのは、おじさんの名前です。そう。彼女に手紙を送り、サンタに扮して彼女の元にやってきたあのおじさんです。
「すごく複雑な話なの」
サラは語り始めました。
「あるとき、私の兄ニックから手紙が来たの。それによると、彼はこの町で瀕死の重傷をおったと言うことだった。私はいてもたってもいられなくて、すぐに彼の元に駆けつけたわ。唯一の失敗は、あなたとお父さんを駅においてきてしまったこと」
「ちょっと待って、私があなたと駅で別れたとき、おじさんは私といっしょにいたわ」
「それは、あなたの記憶がすりかわっているのよ。おじさんから手紙をもらったことはない?手紙の文面からあなたはおじさんに良いイメージを抱いていたのよ。でも、あなたのお父さんはおじさんについて悪いことしか言わなかった。記憶の整合性を保つために、あなたはお父さんではなく叔父さんと一緒に駅にいたという記憶を作り上げたの。おじさんを正当化するために」
そういって、サラは話を元に戻しました。
「結局、手紙は嘘だった。彼は、ただ単に私が愛しくて、常に私と一緒にいたかったのね。それで私を騙して自分のものにした。時期に彼は自分のしでかしたことに気づいて、自己嫌悪に陥ってしまったの。そして、二人に分裂してしまった。一人は今の私を知らないサンタクロース、もう一人は私の過去を知らないニック本人。でも、当たり前だけど私とあなたのお父さんはニックを赦しはしなかった。それでとうとう、あなたのお父さんの死と相前後して旅に出てしまった。帰ってきたときにはアルコール中毒になっていたわ」
そのとき、突然酔っ払ったニックが叫びました。
「ぉいサンタぁ!おめぃは俺じゃねえか!おめぃ、今でもこのひどい世界に夢と希望を撒いてるのかい」
「お前の絶望的な生き方よりはましだからな!」
サンタが酔っ払いをわしづかみにすると、酔っ払ったニックは煙のように消えてしまいました。
「実はね、今朝彼は死んでいたの。玄関前で、凍死していたわ」
「お母さん!」
そのとき、駅に女の子が駆け込んできました。
「お父さんの体が消えちゃった!」
「安心して、ベティ。お父さんは天国に行ったのよ。ベティ、ケイトを紹介するわね。彼女は私の娘であなたのお姉さん。これから一緒に過ごすのよ」
このやり取りを聞いて、ケイトの心には、なぜか怒りがこみ上げていました。
「それで、サンタさん、プレゼントはなんなの?」
「プレゼント?」
「そう。プレゼント。サラの話が正しければ、あなたと私のおじさんは同一人物よ。あなたはサンタさんとしてベティにプレゼントを上げなくちゃいけないでしょうけれど、私にもおじさんとしてプレゼントをくれる必要があるわ。で、あなたのプレゼントっていったい何なの?家族の再会?悲しい真実?あなたの救いようのない人生?まさかそんなものをプレゼントだなんていわないわよね!?」
サンタは絶句してしまいました。
次回、大団円にします!