winnyの裁判

今朝の朝刊(リンク先はエキサイトの記事)によると、ウィニーの開発者47氏こと金子被告は「俺が逮捕されなかったらnyを改良できるから、情報漏洩問題なんかおきなかった」とか言ったそうです。

  • 果たして改良によって情報漏えいは止められるのか?

眉唾物ですね。どういう風に漏洩を止める気かと言うと「流出したファイルを特定して流通を止める」のだそうです。さて、これってどういうことでしょう。記事には「止める」としか書かれておらず、いったい誰がどのように止められるようにする予定なのかということについては分かりません。
ただ、憶測で物を言わせてもらえれば、これは事実上不可能なことのように思えます。
まず止める権利を誰が持つか、これは最大の問題です。ごく一部の人間、例えば47氏一人が止める権利を持つ場合、流出させてしまったヒトは47氏とコンタクトを取って止めてもらうほかありません。しかし、47氏は逮捕時、ダウン専用の特製nyを利用して著作権法違反を免れようとしていた実績もあることから分かるようにいまいち信用が置けません。では、警察のような機関が持つべきでしょうか。それはnyの自爆でしかありません。一発でお陀仏です。なぜなら国家にとってnyで流れているファイルのほとんどは著作権法かわいせつ物陳列罪か児童ポルノ規正法のどれか、あるいは全てに引っかかる「問題のあるファイル」だからです。ならばny利用者全員ならどうでしょうか。これも問題があります。たぶん出版社やレコード会社が喜んで専用PCにnyを導入して、自社製品を規制するでしょう。
以上のように、止める権利は誰が持っていても良いことはないのです。
どのように止めるかも問題です。一番現実的なのは流出したファイルのMD5を利用することですが、この方法には実は無理があります。MD5というのはDNA鑑定や指紋認証などと同じようなものです。ファイルがちょっとでも違うと、ある計算法で導き出されたMD5という数字がぜんぜん違う値を出す、というシステムです。逆に言えば、流出したファイルの一部を書き換えてしまえばMD5は変わってしまうのです。*1同じことはファイル名やファイルサイズを利用して流出を止めようとした場合でもいえます。そして、それ以外の方法で流出を止めようとするのは、私が思いつく限り難しすぎてやるだけ無駄だと思います。
というわけで、私個人の意見としては、金子被告の発言は、苦し紛れに「俺を自由にしてくれ!そしたら何とかしてやる!」と詐欺師が言ってるだけにすぎないと思います。

  • じゃあどうすればいいのか

防衛庁は急遽PCを大量発注しましたが、多分これは解決になりません。備品のノートを自宅に持ち帰ってnyを導入してしまえば元の木阿弥です。
私が思うに、情報を流してしまった人を片っ端からしょっ引いてしまえばよいと思います。nyはダウンしたファイルをキャッシュフォルダに貯めているので、事実上ダウンしたファイルは時を同じくしてアップしているわけです。*2つまり、ダウンしていることが判明した時点でアップをしていると判明するので、細かいことを言うと「俺はダウンしただけだ!問題ない!」という言い逃れは通用しないのです。
流出確認→即逮捕を繰り返せばさすがにnyを使っているPCで仕事をしようとするヒトはいなくなるのではないでしょうか。流出に気づいても逮捕が怖くて申告しない人がいるかもしれないと心配する必要もありません。nyによって全世界にばら撒かれてしまえば、流出がばれるのは時間の問題です。

  • どこまでやれば

情報漏えいで問題になっているのは、主にnyによって情報を撒き散らすタイプのウイルス、通称「仁義なきキンタマ」なのですが、山田オルタナティブのように感染経路としてしかnyを利用していないけれども、キンタマ系に負けず劣らず凶悪なウイルスだってあるのです。
これらを一掃する手段を講じなければ、ウィニーによるウイルスの被害というのは増え続けるばかりではないでしょうか。
むろん、こっちのほうが難しいのですが。

*1:例えば、勝手にUpフォルダ内のファイル全てにブランクのtxtをつけてZIP化する機能や、ファイルの説明を微妙に変える機能なんかを仁義なきキンタマに付属させれば、MD5は変えられる

*2:もちろんそれを防ぐ手立てもあるが、そもそも情報漏洩をやらかす間抜けがそんな小細工を弄するわけがない