二本の指で数えられる

学科の演習で、CMOSの回路を組むシミュレータか、CMOSそのものの設計をするシミュレータ、どっちかを使ってその結果を発表しなさいというお題が出ていて、その発表をやってきました。回路シミュレータはそのままVLSIの設計につながり、デバイスシミュレータもMOSトランジスタの設計につながる、というか、使っているソフトが業務用。
回路シミュレータは配線の引き回しに制約があるだけで、やってることは論理回路の組み合わせ。
バイスシミュレータのほうは、パラメータをいじくって要求仕様どおりのトランジスタを作ればよいのです。
とっつきやすくて何でも作れる回路シミュレータのほうが人気があるだろうという予想でしたが、確かにデバイスシミュレータの発表をしたのは三十人中、私を含めて二本の指で数えられるほどでした。ちなみに、工学部の人たちのほとんどは二進数で生きているので、指の本数と人数は必ずしも一致しません。
私は反応速度を上げたトランジスタを設計したのですが、インバータ回路を作ってシミュレートしたところ、pMOSの立ち上がりが初期状態の1[ns*1]から0.1[ns]にできました。スピードを上げると瞬間的に使う電流が増える増える。スピードが10倍になる代わりに5倍くらい電流が流れます。速くなったぶん、流れる時間は減るのですが、一度に流れる量が増えているので、多分、アルミか何かで配線したらそのうち融けます*2
こりゃー材料をシリコン以外のものにしなきゃだめだね。(´・ω・)
でも、材料の変更はやらせてもらえないんだよね。(´・ω・)
それにしても、ゲート酸化膜は薄くすればいいとはいえ、薄くしすぎると閾値電圧がわからなくなるし、ゲート長を短くすればするほど短チャンネル現象で電源5[V]なのに出力が2[V]だよママンになるし。
開発って難儀だねぇ。

*1:nsはナノ秒、つまり10の-9乗秒

*2:電子の流れに乗って配線のほうも融けてしまうというのを習った記憶がある