無線は使わせねぇ!

たまには仕事の話をば。
私が勤務しているバニャ・ルカ市IT課のインフラ担当に、ステパノフさんという50代後半くらいのおじさんがいる。この人は電子工作が大好きな人らしく、何やらギミックのついたものを自宅でいろいろ作っているらしい。市役所の備品の一部も彼の手作りだと言われた気もするが、何だったかは思い出せない。
で、この人が市役所のLAN網のハードウェア面の設計をしている。
各階ごとのルータやそれを取りまとめるルータや、ゲートウェイサーバの配線図を見せてもらった。彼のポリシーとして「無線LANは使わせねぇ!セキュリティやら干渉やらが面倒だからな!」というのがあって、それについて熱く語ってくれたので激しく同意してきた。
実際問題、ルータ間の電線は石とセメント、あるいは鉄管の中を通してあるし、各部屋も同様に分厚い壁で仕切られてるから、電波で情報をやり取りするよりは情報が漏れた場合の犯人探しが楽だと言える。ちなみに、この国の人たちは自宅に仕事を持ちかえったりはしないので、USBメモリなどにデータを移そうものなら、間違いなく付近の同僚に怪しまれる。逆に、この国の人たちはおおらかなので、ITインフラの十分整ってないこの国においてかなり太い回線を使える市役所の無線LANのWEPキーを友人に教えたりすることは、十分あり得るリスクだろう。
干渉や帯域の問題も面倒だし、彼は実にいい仕事をしている、と思う。