自分ルールを一般的なマナーと言い張る人

今日は研究室の引越しでした。正確には、他の研究室の解散に伴い人が一人とお下がりの設備がたくさんやってきました。中でも、スキャナ兼用のプリンタが神々しいです。これでプリンタが3機体制になりました。


さて、昼間につぃった経由で「マナーあるメールの書き方」なる記事を日経BPで読みました。
一ページ目に悪い例のメールが書かれており、二ページ目から先で「カリスママナー講師」なるお方が訂正してくれるという体裁。
悪い例を丸ごと転載すると

From: aaaaa@bbbbb.cc.jp
Subject: 広告の件
Date: 2010年 3月 17日 9:24:20 JST
To: saiton@ccccc.dd.jp
斉藤さま
拝啓 おはようございます。
先日は色々と楽しいお話しありがとうございました。
広告の原稿頂きました。
文字化けしているので再度お送り下さい。
宜しくお願いします。
                         敬具
●○会社 ●○部
日経太郎
〒100-0000 東京都●○区○○1-1-1
TEL:03-1111-1111 FAX:03-1111-1112

こんなもの。まあ、ツッコミどころはあるにはありますが、マナー違反と叱責するほどのものは無いように思えます。強いてあげれば、たった一行の用向きのために時候の挨拶やら何やらで何行も費やしていることくらいでしょうか。
ところが、二ページ目を開いた途端・・・

マナーのあるe-mailの書き方は、まだまだ普及していないのが現状と感じます。

いや待て。そもそも普及していない作法をマナーと呼んでよいのか?それってじゃあどこで決められたマナーなのさ?なんで普及してないのさ?
で、のっけから雲行きが怪しくなったこの人が最初に突っ込んだのは「To欄をいじくって宛名のところに敬称をつける」というもの。
いやいやいやいや。そんなマナー聞いたこと無いから。仮にそういうマナーがどこかで流行っているにしろ、それ以前に、From欄とSubject欄をいじくろうよ。メールなんて自分宛に届くに決まってるんだから、読み手が注目するのは「誰からどんな用向きで来たのか」でしょう。アドレスだけじゃ一目で誰だか判別しづらいですし、「広告の件」なんてメールを受け取る人は、恐らく日々何件も同じタイトルのメールを処理しているでしょうから、もう少し情報を載せるべきではないでしょうか。


その次に書かれていたのが「1行目に社名、部署名、3行目に肩書き+名前+様」という縛りですが・・・
そんなルールがあるなら、その仕様にあわせて自動的に書き込んでくれるメーラがとっくにリリースされてると思います。
実際に3行に分けて書いてあるメールを貰ったこともありますが、2行だったり、1行だったりすることもあります。社名や部署名が短かったら一行にまとめてもいいし、個人事業で肩書きが無ければ全部まとめちゃったって良いのだと思います。少なくとも、3行に分けないと失礼という話は聞いたことがありません*1


で、気になるそこから先のマナーについては次回に持ち越し、らしいのです。でも、はっきり言ってこの2点のどうでもいい指摘を読んだ時点で、手前が勝手に考えたマナーなんじゃないの?と思わずには居られません。
そもそも、サンプルとして「aaaaa@bbbbb.cc.jp」というアドレスを書いていますが、これはRFC2606という明文化された国際ルールに違反した書き方です(とつぃった上で突っ込まれていました)。
ちなみに、RFC2606というのは「例文として使ったアドレスが実在していたら困るから、example.comを始めとした、予め取り決めたアドレスを例文には使おうね」というものです。
早い話、このカリスママナー講師(笑)は、世界標準のルールをガン無視してマナー講座を開いているのです。


そもそもですね。用向きが「文字化けしているので再送してくれ」って言う時点でおかしいんですよ。
システムが不安定だった時代ならまだしも、現代で文字化けといったら、エンコードを間違えたか文字セットが違うかですから、相手に再送を頼まずとも自分で解決できます。その上で、ファイルが本当に破損しているなら「ファイルが破損しています」ときちんと書かないと「文字化けならエンコードの問題じゃないですか?」っていう返信が来て、むしろ二度手間です。
署名にメールアドレスが無かったりとか、細かいツッコミどころは多いですが、早い話、寡聞にして知らない変なマナーを書き散らしているこの人が言うマナーって、本当は自分ルールじゃないの*2

*1:株式会社hoge 社長 Jane Doe様 なんて三行で書いたら帰って読みづらそうに思えます

*2:もちろん、私やその周囲だけが知らないだけという可能性はある。だが、RFCガン無視の実態を見ると、むしろ講師側のデッチアゲ説を私は唱えたい。講師が恥をかくだけなら良いけど、記事を本気にした人間が増えることで、かえって「マナーを知らない人間」が増えてしまう結果にならないだろうか?