「はやぶさ」と「はやぶさ2」

夕べ地球に帰還したはやぶさのカプセルは、無事に回収されたそうです。
中身が入っていれば万々歳ですが、カプセルの内容の有無に関わらず、はやぶさが宇宙開発史に燦然と輝く金字塔を打ち立てたことは間違いありません。
それには、単なる地球圏外のサンプルリターンとしてだけではなく、イオンエンジンや自立飛行制御といったさまざまな新技術の確立に対する功績が含まれています。


さて、はやぶさの成功で盛り上がったためか、後継機となるはやぶさ2の計画がにわかに脚光を浴びているようです。特に、近年の予算削減の煽りを受けて、今後の予算がつかない可能性が高いので、今後支援の声が増えてくることは間違いないでしょう。
と、盛り上がっているところへ夢の無い話で水をさすと、はやぶさは「いろんなミッションの抱き合わせ」だからこそ、航海日誌はドラマ性にあふれ、多くの人々の関心を呼び、感動を与えたものなのだと、私は考えています。なので、個人的には安易に「あの感動をもう一度」のノリではやぶさ2を推進して欲しくない。
JAXAは限られた予算の中でいろいろと手広く商っているので、今後の宇宙開発に振り分けられる総予算の変動によっては、いずれはテーマの絞込みをしなければならなくなることは間違いありません。国家予算が逼迫する際に最も楽に削れるのは、宇宙開発のようなプロジェクトだからです。その中でJAXAはやぶさ2を打ち上げさせるなら、小惑星探査をメインテーマの一つに絞り込んだ結果であるべきで「『あの感動をもう一度』という人が多かったから」は避けて欲しいのです。
はやぶさ2が再び小惑星帯に向かうとき、情緒的な分をのぞけばその目的は小惑星からサンプルを取って来ることに限定されるわけです。新技術の実証試験を兼ねたミッションになる可能性もありますが、現行案のままならば「はやぶさを改良したもの」というコンセプトです。
JAXAがこなさなければならないミッションは他にも沢山あり、地球観測や惑星観測、宇宙探査、通信技術などなど、数え上げればきりがありません。はやぶさもその中の一つなのです。
予算を増やすのは国家予算が大赤字の現状では難しいですから、はやぶさとは関係なく将来性やら海外との協力やらなにやらを勘案したうえで、いくつかに絞り込む必要があると思います。事業仕分けのようなものは、本当はそういったものを議論したうえで、恨みっこ無しでボツにするプロジェクトを選ぶ作業だと思います。公開裁判ごっこで1割減とかを安易に決めるのは、悪手の一つでしょう。
はやぶさ2はどれくらいの優先順位が当てられるべきなのか。関心を持つ人々へのアピールという点では目玉に据えるべきかもしれませんが、情報収集衛星地球観測衛星通信衛星もいらない!そんなのより一般受けするはやぶさをシリーズ化だ!とかになったら、私は泣きます。
どっからともなくパトロンの集団が現れてやってくれる分にはかまわないですが。


まあ私は心配性なので杞憂だと思いたいのですが、歴史上、二匹目のドジョウを狙って失敗した例や、予算を握ってる人たちが何かを勘違いしたままいたずらに資金を浪費した例には事欠かないわけで・・・