おかえりはやぶさ

7年にも及ぶミッションがいよいよ終わりました。
はやぶさが打ち上げられたのは、私が高校生だったころのことです。あのころ、学ランに身を包んだ高校生は、今では立派なエンジニアの卵となり、はやぶさの帰還動画に滂沱するまでになりました。(3分ごろに燃えるはやぶさが映ります)


まあ何しろ、私の記憶にあるだけでも、はやぶさがやらかした業績はこれだけあります。

  1. 複数のミッション抱き合わせ×民生品利用(子機ミネルヴァに積んだカメラは、VAIOの部品だったりする)
  2. リアクションホイールが一つを残して全滅
  3. 確か世界初、イオンエンジンで惑星間航行で小惑星イトカワに到着
  4. イトカワの観測
  5. 自力で着陸してサンプル採集
  6. 化学エンジン故障で燃料漏れ
  7. バッテリー上がり、一部セルは死亡
  8. 燃料漏れの余波で姿勢が崩れて通信途絶
  9. そこから7割(8割だっけ?)の賭けに勝って復帰
  10. 無事に地球までの軌道に乗る
  11. エンジンが寿命を迎えるも、足りない推力は壊れたエンジン二つの組み合わせで補完
  12. 予定通りカプセルを地球に投下する

「いろんなミッションがてんこ盛り」「途中に様々な困難が立ちふさがり、一つ解決するごとに新手の問題が表れる」「それらを克服し、所定のミッションを全部クリアする」という、少年漫画のプロットのような偉業は、なかなかお目にかかれるものではないでしょう。
ちなみに、サンプルリターンはこの計画の目玉ではありますけれど「イオンエンジンを動かして長距離航行」「自立航行で目標の小惑星に着く」「小惑星を観測する」「サンプルを持って帰る」の全部がミッションです。
大体全部(カプセルは回収できたそうですが、中身はこの日記を書いている時点では未確認です)を達成できたのは、はやぶさに関わった全てのエンジニア、研究者たちの汗と涙の賜物です。
こういうニュースを見ていると、工学系の道に進んだぶん、楽しめるポイントが増えて愉快です。


追記

<完結編>探査機はやぶさにおける、日本技術者の変態力
どうせ週末になると思ったら、職人が手際よく完結編を完成させていました。
JAXAには真田さんが何人いるんだ・・・


だそく
残念ながら、地上波のテレビでははやぶさ期間の模様は放映されませんでした。
個人的には、高々人工衛星一個。それも、上手く行くかどうか分からないうえに気長に待たなければいけないこの手のイベントは、地上波で流す必要は無いと思います。一部ではそのことに不満が出ていると聞き及びましたが、さすがにこれをテレビで流すのは予算面でも需要面でも足りないのではないでしょうか。息詰まる管制室と流れ星一つのために時間を割くよりは、サッカーを見ていたほうが間違いなく楽しいですし。
それよりも、ケーブルテレビのディスカバリー・チャンネルのような専門局、あるいは今回のようにustreamニコニコ動画を用いたネット中継がちょうど良いと思います。というか、この手のシステムはそういった需要を満たすためのものだ、と私は認識していたり。