選挙後の雑感

今回の選挙は色々と面白い結果がでましたので、つらつらと。


まず、一票の格差がとぉとぉ5倍を越え、高知県で14万票取れば国会にいけるのに、神奈川では70万票とっても国会にいけない情勢となりました。この一票の格差に一番泣いたのが現職の法務大臣というあたりは、皮肉としか言いようがありません。一人相撲にはなりますが、ぜひとも千葉景子法務大臣には、選挙の無効を裁判所に訴え出て欲しいものであります。
この一票の格差は去年の選挙から分かりきっていることなので、去年政権を取った民主党が最初にするべきは選挙区の区割りを直してこの格差を是正することでした。にもかかわらず選挙区の区割りを直さなかったのは、おそらく過疎地域の票をを補助金で釣るためでだったのではないかと、私なんぞは邪推しております。鳩山前首相がソツなく政府を運営し、小沢一郎前幹事長がソツなく補助金をばら撒いていれば、今回の選挙は圧倒的に民主党が有利だったのではないでしょうか*1
思いっきり自爆して有権者に愛想をつかされ、さりとて過疎地域に対抗馬となる候補を擁立してくれるのは自民党くらいなので、結果的に自民党が一人区で圧勝という結果を生んだのだと思います。


自民党がでもしかで勝っちゃったと考える根拠は比例の得票数です。比例だけで見ると自民党の3割り増しくらい民主党が票を取っております。まぁ、一年そこいら下野しただけの自民党を本復させるほど国民はお人よしじゃないのでしょう。
一方で与党と野党の票を全部合わせると野党の方が多いので、国民は全体として民主党白紙委任をするほど楽観的でもない、ということになります。
この結果は都市部の選挙区にも現れていて、自民と民主(と出馬していれば公明)が一議席ずつ獲得した残りをみんなの党が掻っ攫って民主の二人目が次点、あるいはその逆という感じに議席が配分されております。国民の全体的な気持ちとしては自分の選挙区から民主党の議員を二人送るかどうしようかを悩んでいる感じだったのではないでしょうか。
新党というか小所帯の政党が軒並み惨敗する中、みんなの党が躍進した背景には、政策以外にもそういう心理が働いたような気がしないでもありません。


消費税論議民主党を負けに追い込んだという話も聞きますが、勝った自民党も消費税増税を掲げており、一方で強硬に反対するであろう社民共産の両党が伸び悩んだあたりからして、そんなのは国民にとって実はどうでも良かったのではないかと思います。
それよりも、将来への不安や現在の不満のぶつけ先を提供してくれた党が伸びたんじゃないかと私は考えています。


そんな選挙で負けたために、現与党は連立政権を組みかえるなりなんなりする必要が出てきましたが、野党各党は今のところ連立政権に入る気はないご様子。そうはいっても衆議院では民主党過半数を抑えているので、自分のところの政策と民主党の政策を上手いことすりあわせて法律を制定していくしかありません。
これで無体なスピード審議と強行採決のコンボとかそういうのがなくなればありがたい話です。
いっぽうで、成立を急ぐあまり玉虫色というかあいまいな文面の法律ができたら嫌だな、とも思います。
変なトラブルがなければ向こう3年はこの調子なので、急がず焦らず政権を運営してみればいいんじゃないでしょうか。

*1:もちろん、これは「有権者の一票の価値を等しくする」という主旨で制度を設計する場合。「各県の代表が国会において平等の権力を得る」主旨の制度なら、むしろ比例を廃して各都道府県が同じ数の議席(一県5議席とか)を割り当てるのが良い。現行制度だと参議院がどういう形で国民の意思を吸い上げる目的で設置されたのか、イマイチ分からない。