4号機に何があったのか

東電が、4号機の使用済み燃料プールにカメラを入れた動画を公表しました(NHKの動画)。
動画を見ると、燃料を入れたラックはそのまま残っており、特に異常は無いようです。4号機の建物は激しく破損しているので、余程の大事があったように思われますが、どっこい4号機の使用済み燃料プールは、実は無事だったのかもしれません。
それにまつわり、感じたことをつらつらと。


時々、ウェブサイトで「3月15日に4号機が爆発」という表現を見かけるのですが、そもそも4号機が爆発したという事実は「公式には無い」のです。実際、本日最新の第121報には、こうか書かれているだけです。

・使用済燃料プール水温度が上昇(3 月14 日4:08 時点84℃)
・オペレーションエリアの壁が一部破損していることを確認(3 月15 日6:14)
・火災発生(3 月15 日9:38)。事業者によると、自然に火が消えていることを確認(3 月15 日11:00 頃)
・火災が発生(3 月16 日5:45 頃)。事業者は現場での火災は確認できず(3 月16 日6:15 頃)

バックナンバーを漁っても、4号機は「気付いたら建物が壊れていた」という感じで、何か爆発があったというような記述は見当たりません。
「火災があった」という記述はあります。何が燃えていたのかはわかりませんが、火事があったのは確かのようです。
一部のウェブサイトでは「4号機で水素爆発」という表現をしていますが、どこかの部屋に溜まった水素が燃焼するときには「火災」という表現では追いつかないようなことが起きるので、この火災は水素によるものではないでしょう。1号機、3号機が水素爆発したので、それと火災を混同して「4号機でも水素爆発があった」と勘違いした人が出て、それが広まったのでしょうか。
そもそも、核燃料を囲っているジルコニウムが水素を発生させるためには相当な高熱が必要で、そこまで高温になっているなら、燃料を入れたラックも無事ではないはずです。さらに、その後に水素爆発があったのなら、なおさらラックが無事なわけは無いですから、状況からは4号機で水素が発生して爆発が起きた、という筋立ては難しいと考えられます。
ならば、4号機では一体何があったのでしょう。


ここから先は私の予想、というか妄想。


無人機が撮影した写真を見ると、3号機の南側、すなわち4号機側の鉄骨がなくなっているのが分かります。そして、4号機の3号機に近い側の壁が「内向きに」凹んでいるのも見えます。さらに、3号機が爆発する様子は動画に収められていますが、大きな破片は4号機の側、やや海寄りに飛んでいるように見えます。
ひょっとすると4号機の破損というのは、3号機の破片によって惹き起こされたものではないでしょうか。
原子炉建屋の天井は、何かを支えるのではなく鉄骨の上に屋根が「かぶさっている」だけです。なので、上から飛んできた3号機の破片が4号機の天井や構造を大きく破壊してしまったと考えられます。さらに、鉄骨構造の建物は、壁で何かを支える構造ではないため、強い衝撃が加われば容易に壁が脱落してしまう。少なくとも、3号機からの破片の衝撃には耐えられても、その後の余震などの影響で壁が剥がれ落ちて今の状況になったのではないかと私は予想しています。
実際にはどうなってるのか分かりませんが、もしそうであるならば、4号機の処理は結構楽かもしれません。なにしろ、燃料が無事なのですから、建物を一度補強した上で、天井の骨組みをどかし、燃料を取り出せばよいのです。
眠い目を擦りながら書いているので、おおはずれだったらごめんなさい。