つくば富山はしご出張(帰京編)

朝から腹痛がひどかったので、東京に帰って寝込むことにしました。本当は金沢辺りまで行って兼六園でも見てこようかと思ったのですが、冷たい雨の降る中、動き回れる体調でもなかったので、土産を買うのもそこそこに特急に乗ってしまいました。419系が走ってたら鈍行で帰ってきたかもしれませんが(ぇ


旅のお供に読んでいたのが、下川裕治氏の「世界最悪の鉄道旅行-ユーラシア横断2万キロ」という本。

世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ (新潮文庫)

世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ (新潮文庫)

シベリアの東端からポルトガルの西端で、シベリア鉄道ではなく中央アジアを貫くルートで鉄道旅行をするという旅行記です。テーマは私好みなのですが、筆致がくどくて説教くさいオヤジなのが玉にきず。なお、写真は朝日新聞の関連サイト(リンク)の方が充実しているので、これを眺めながら本書を読むと、様子がよくわかって面白いです。異国情緒とか、現代でもできる冒険とかに食指が動く人はぜひ。
長大編成のロシアの地方鉄道。飛行機に取って代わられ2両しかない国境を超える列車。「旅」から「移動手段」になった中国の高速鉄道。灼熱と買い出し列車。……中央アジアの鉄道事情は知らなかったのですが、社会主義からの転換の混乱や、オイルマネー流入といった経済事情を大きく反映しているようです。そりゃ、お金がある人は汽車ではなく飛行機を使いますよね、この時代。長距離でも自動車を使えば楽ですし。つまり、飛行機に乗れず、車で移動するには大変な客しか鉄道は使わないのです。具体的には、大荷物を運ぶ人とか*1、飛行場までの移動に時間がかかるド田舎の人とかでしょうか。経済が変わると人の動きが変わるという考察は、著者の下川氏がこの地域に何度か出入りしているからこそ写実的に書けるのだと感じました。
カフカス山脈の辺りでは一本前の列車が爆弾テロに遭ったりとか、なかなかデンジャラスな体験もされているようです。
ベオグラード駅にはボスニア滞在時に行ったことがあるので、バルカン半島のくだりを見ると懐かしさがこみ上げてきます。客車をつなぎ忘れるという事故は、私は見かけませんでしたが、あのあたりののんびりした人たちならやらかしそうな気がしないでもありません。
ちなみに、おおらかでのんびりしているのにどこかしらで頑迷な、バルカン半島のスラブ人たちを見るためには、ぜひボスニアの鉄道に乗ってみることをお勧めします*2ボスニアは民族対立で鉄道会社が二つもあり、いちいち会社の境界で機関車をつなぎかえているので、初めて見る人はびっくりすると思います。色違いで全く同じ機関車を使ってるんだから、乗務員だけ載せ替えればいいのにというのは平和な国の発想のようです。
そんな鉄道旅行記を読みながら東京へ帰って、布団で寝込んでいます。本復するといいな。

*1:バスとかだと盗難にあいやすいし、自家用車だと整備が大変

*2:下川氏はキリル文字を読めないようでした。もったいない。