ネットで募金、という話

注:この日記は募金を呼びかけるものではありません。
「制度を改正するために個人を攻撃する必要はありません」
という意見広告を出そうという話がある。
#CIVILACTIONJAPAN (シビル アクション ジャパン)という団体(リンク)で、twitter を中心に広告費を募金形式で集めている。
先月の話になってしまうが、生活保護費の引き下げを主張する自民党の片山議員が、生活保護費の不正受給疑惑で漫才師を吊し上げ追求していたことをきっかけに、この運動は始まった。つまり、生活保護費の引き下げに関する反発を抑えるため、不正受給疑惑のある人を役人に任せず自分で取り上げたのではないかというわけだ。
片山議員の真意はわからないが、現にこの件を理由に生活保護の申請を拒否する市役所(毎日)が出たりしているように、生活保護への印象が悪くなり、給付金額を引き下げやすい状況になったのは確かと思われる。
Civilactionjapan はこれを契機に、生活保護の問題そのものではなく「制度を改正するために個人を攻撃する」という手法に異を唱えるために結成された。
目標金額は、読売新聞に一面広告を貼る定価の5000万円。6月いっぱいで募金を締め切る予定で、6月19日現在で600万円なので、恐らく金額としては目標未達になる。とはいえ、600万円あると毎日新聞の半5段(一面の6分の1)は定価で買え、定価の7掛け*1と思えば読売新聞や朝日新聞の半5段くらいにはなる。広告デザイン案の候補たちもなかなか格好いい。
主催者に奥の手があるとかそういうことは考えないが、ネット上の見ず知らずの人たちが、ひと月余りで600万の大金を集めたのは大したもんじゃなかろうかと、おめでたい私は思った。


中高時代に駅前で募金活動を何度かやった経験からすると、募金活動というのは大変骨の折れる仕事だ。何しろ、声をからして叫んでも10人に1人も振り向いてくれない。お金を募金箱に入れる人などたかが知れていて、中には財布も出さずに延々と説教を垂れていく迷惑な人もいる。
曰く、お前らは利用されてるだけだとか、家に帰って勉強しろだとか、余計なおせっかいというかむしろ邪魔な人が必ず出てくる。又聞きだが、通りがかった右翼団体街宣車が気を利かせてマイクを貸してくれたなんてこともあったらしい。こちらはありがた迷惑な事例だろうか。twitter 上でも状況は同じ、というかむしろ迷惑な人が気が向いたら何度でも迷惑をかけに来るので、何ともやるせない。興味がないなら黙って通り過ぎればよいのに。
こういった迷惑な人はかなり目立つが、世の中そんな人ばかりではない。街頭募金でもネットの募金でも、大金を振り込むお大尽様はいる。そういう人は、大変心強い存在だ。募金する金額の多寡で「ありがとうございました」の声に差をつけてはいけないのだけれど、それでも嬉しいものは嬉しい。
今や、日本でもネットでそれをやる時代になったのだ。ぜひ成功事例を積み重ねて、一般的な事柄になってほしい。


ちなみに、週刊朝日が「ネット募金が集まるワケ」と題してこの件について記事を書いている。ネット上で見ず知らずの人が金を出し合うというのは、見ず知らずの人に金を預ける行為なわけで、確かにあまりないことだ。
この記事中にケーススタディとして Civilactionjapan (「意見広告出そう」に17日間で578万円)と Studygift(「学費支援して」に2日で97万5千円)の二つが取り上げられている。メインは現在進行中の Civilactionjapan の方で、失敗事例として Studygift が使われている。学費支援の Studygift の方が、「奨学金をもらうはずの学生が実は退学していた」とか、「主催者の一人と学生がデキていた」とかオジサマ受けする話題を持っているのだが、あえて Civilactionjapan をメインにしたのは、活動の趣旨が多少なりとも記者に影響を与えたからだろうか。

*1:7掛けしてもらえる根拠はないけど。