無理に節電する必要はなさそう

私のtwitter では時たま電力が足りる足りないという話が湧くのですが、最終的には足りるという人も足りないという人も頑として譲らずに物別れに終わります。それもそのはず、足りる足りないは価値観の問題なので、そりゃ余程説得力が無ければ話し合いだけで受け入れさせるのは無理ってものです。
震災前には東京電力の管内だけでも1000万kWあった原子力発電所からの出力が無くなっており、代わりの緊急設置電源や復活させた横須賀火力の出力を足しても300万kW程度なので、残りの700万kW分を節電と発電所の検査時期のやりくりで賄うしかありません。一方で、東電が過去記録した最大電力は平成13年の6430万kW、東電が今夏供給できる最大電力は5930万kWなので、何も考えず電気をじゃぶじゃぶに使う状態から1〜2割節電できればまあ何とかなるとも言えるのです。平成13年の最大記録をピークに電力需要は低下しており、ここ10年は震災前でも6150万kW以下に収まっているので、さらにハードルが下がります。東電が猛暑を想定して算出した今夏の予想最大電力5450万kWを達成するだけなら東日本大震災前に比べて1割節電すれば何とかなってしまいます。
従って、びた一文節電したくないなら電気が足りないという主張になりますし、ちょっと節電すれば間に合うと思えば電気は足りていると言えるのです。
ちなみに、先週は連日最高気温35度を記録しましたが、それでも平日の最大電力は全て5000万kW前後だったので、まだまだ余裕があります*1。先週節電しすぎて辛かった人は、冷房の設定温度を下げても大丈夫のようです*2


あと、東電が日々公開している電力供給元の内訳に「他社受電」という項目があり、これを見つけて「東電が自力で電力を全部供給できず、よその会社から買っているのだから電力不足だ」と主張する人もいるのですが、ここでいう他社とは電源開発やコンビナートの発電所といった、東電が昔から買っている供給元です。中部電力東北電力といった別の管区からの供給は別にカウントされており、それは今のところゼロです*3

*1:揚水発電は夜間や週末に十分水を汲めないと差し支えるのだけれど、先週の猛暑でも来週に差し支えていないようなので、今のところ問題はなさそう。

*2:電気代を割り引く代わりに東電の要請に合わせて節電するという契約を結んでいる会社もあるけど、契約で使用量を抑えているのでもない限り自主的に節電する義理はない。

*3:そういった他所の管区からの調達も、昔から緊急時には行われているので、停電するレベルでの電力不足はよほど運が悪くなければ起きなそう。