• 第二日

この日一日だけ、プノンペン市内を観光します。プノンペンというのは「ペン婦人」という意味だとか。昔のお金持ちの仏教徒なんだそうです。
午前中は王宮と併設するシルバー・パゴダ、それに国立博物館の見学です。
ガイドさん曰く、クメール文化では偶数と正方形は縁起が悪いらしく、王宮も一見正方形ですが、その実どの壁も1メートル程度長さが違うそうです。
また、カンボジアではヒンドゥー教と仏教が共存しているので、「元はヒンドゥー教の寺院だったのに仏教の寺院に改装された」(あるいはその逆)という遺跡はざらで、なかには「大乗仏教の寺院だったのをヒンドゥー教の寺院に改装したのに、いまは上座仏教の寺院として使われている」などというややこしいものもあるとか。
建物の中身とか外見とかは、旅行ガイドに書いてあるものそのままです。王宮はフランスの影響が色濃い設計ですし、パゴダに安置されたエメラルドの仏像とか銀の床とかは壮麗の一言に尽きます。
残念ながら、市販のガイドブックには写真入で詳細な説明があるので、それを読んだ後だと実物を見ても感激は半減します。
むしろガイドブックにはない意外な事実の方が面白かったので、この日記ではそちら側に重点を置きたいと思います。
意外な事実といえば、カンボジアでもガソリンはリッター1ドルほどである、というのがあります。
日本と同じというなかれ。国家公務員の月給が30ドルだそうですから、そのバカ高さといったら考えられません。
その割には市内は日本の中古車と中古バイクであふれています。日本車に限らずメルセデスのバンとか、とにかく内燃機関はたくさん活躍しています。
皆さんアルバイトに励んでいるそうです。例えばおまわりさんは道路で取り締まって規定よりも多めに罰金を払わせます。先生は生徒に日給を要求したり、試験問題を売りつけたりします。公務員だって、お昼休みの間はバイクタクシーに商売換えしてお客を乗せます。
「ガイドさんの仕事もアルバイトなんですか?」「はい。本当は観光省のお役人です」「どれくらいの割合でガイドさんをやってるんですか?」「客が多い月は、月の半分くらい。普段は三分の一くらいです」
・・・・・・それはもはやアルバイトとは言わないのでは?
午後はセントラルマーケットに行きました。中央のドームから四本の太いトンネル状の通路が延びるシンメトリな形をしています。色は黄色ですが、上から見た感じはたぶん網走監獄に似ています。
フランス植民地時代の建設だそうで、四本の通路はプノンペンを流れる4本の川をあらわしているのだとか。ちなみに、プノンペンを流れる大河は3本なのですが、メコン川を上流と下流に分けることで4本と数えるのだそうです。
肝心のマーケットですが、店は建物からはみでてすでに建物など必要ないのではないかと思われるくらい巨大な市場と化していました。建物自体も左右対称ですから、方向音痴の人にはつらい場所かもしれません。
なんというか・・・・・・中央のドームはあくまで目印でしかないわけで、マーケットのあるブロックは全部ビニールシートで覆われた屋台の列になっているわけです。
人の生命力を感じさせる活気がありました。