• 第三日

前日の夕方、空路プノンペンからシェムレアップへ向かいました。
泣く子も黙るアンコール遺跡のお膝元です。
このツアーの面白いところは、真っ先にアンコールワットを見せないところにあります。三日間という持ち時間をフルに使った非常に贅沢なツアーでした。
アンコール遺跡と一くくりにされますが、シェムレアップ周辺に点在する遺跡群は、建築年代や宗教によってそれぞれ大きな差異が認められるのです。
もちろん、根本にあるクメール文化は大きく変わりませんからコンセプトは一緒です。西に正門を持ち、ほぼ長方形の敷地を堀が囲む。しかし、内部の寺院本体の様式は目覚しい変化を見せています。
アンコール遺跡の寺院跡はほぼ全て灰緑色の砂岩と橙色の軽石、ないしは赤レンガを資材として使っており、人間が見て触れることの出来る範囲は砂岩かレンガ、人の目が届かないところでは軽石を使っています。
最初のころは高くても三階建ての寺院ばかりだったのですが、時代を追うごとに次第にそれが巨大化してゆきます。そして、寺院が縦に伸びる分だけ前後左右に大きくなるため、寺院の規模も大型化が進みます。
真っ先にアンコールワットを見てしまうと、他の寺院がみすぼらしく見えてしまいますが、このように施設を徐々に大きくしていく手法はとても勉強になる案内方式だと思います。

  • これもまた教育

ガイドさん曰く、カンボジアの田舎の子供は人生のうちに、2回出家と還俗を繰り返すのだそうです。
一回目は10歳ごろ、母親のために。二回目は20歳のころ、父親のためにだそうです。
出家はこのように文化的な慣習であるほか、実利的な側面をも持っていることに驚かされました。
彼らは出家することによって、仏教界のNGOから外国語を学び、お布施を元手に社会に出て行くのだそうです。
カンボジアの学校は義務教育ではなく、校舎と教員の不足から午前午後の二部制をくんでいるのだそうです。
なるほど、言われてみれば遺跡の周辺に必ずいる、土産物屋の売り子たちも小学校の制服を着ている子供がそこここにいます。