たまにはSFでも

最近読んだ本のリストを頭の中で作ってみると、軒並み新書のタイトルしか浮かんできません。こりゃ困ったことです。そういう本ばかりを読んでいると頭が固くなり、どんどん思考から夢想が離れていって、コンサヴァトリなことしか考えられなくなってしまいます。
で、冲方丁マルドゥック・スクランブルを三冊買ってきて、読んでいます。

殺されかかって半死人だった少女が、封印されたテクノロジで機械化されて復讐がてら巨悪を暴くという、ある意味ホラーのような物語です。読んでて楽しいのですが、なんと言うか、最近私が買う本買う本そろいもそろって「ベタな展開だけど面白い」系なんです。この本も、ご多分に漏れず先が読めないのは最初だけ。各章ごとの最初の展開さえ読めば、あとは大体の展開が読めてしまいます。作者は有名な作家さんなだけあって、筆力で泣き所をカヴァーしていますが、同じものを素人の私が書いたらつまらないことうけあいです。
この小説に限らず、とにかく「未だかつて見たことない」のは最初の出だしであって、長編だろうが連載モノだろうが、途中から先はなんとなく読めてしまいます。それをひっくり返すのが作者と読者の醍醐味だというのに、ひっくり返し方も定石化してしまっていて、やっぱりデジャヴの山また山。おそらく突飛な物語となりうる題材がない以上、いかに既存の展開を上手く演出するかに力点が置かれているせいだとは思います。自然と、いつか見た「大筋」「キャラ」「小ネタ」「絵柄」に出会う率は高くなるのでしょう。
とはいえ、最近はありきたりな展開にちょっと食傷気味。なんかこぉ、衝撃的な一冊というのが待たれます。