若気の至り、あるいは青春の一コマ

前日準備も含めると三日間にわたったお祭りも、今日が最後です。
今日のタスクは、ビリヤードサークルの模擬店でチュロスの売り子を朝夕二回することと、合間に神保町の三省堂で中声用のコンコーネの楽譜と小学生用の参考書を買ってくること。三省堂は地理的な問題で歩きで行ったほうが効率的なので、この三日間歩き通しということになります。山登りをしているので長時間の歩行は苦になりませんが、それでもさすがにこたえます。
最初の仕事は8時に模擬店へ行き、テントを建て直して開店させることなのですが、十分遅刻した割には誰もまだ集合していません。しめしめと思いきや、二十分立っても誰も来ない。おかしーなー、私のほかにあと4人来るはずなんだけどなー。
メールが二通「家に忘れ物をしたので9時に着く(from部長)」「90分遅れます(from新入部員)」
・・・・・・あんたらいったいなんなんだー。朝だし、自分も遅刻したということもあり、叫ぶ気力がわきません。あと二人のうち、一人はアドレスを知っていたのでメールを打ってみるも「体調不良で行けません」というすげないご返事。そういうことは前もって誰かに言おうよ。もう一人はアドレスがわからないので部長に連絡を取ってもらう。結局、90分遅刻のこと同着程度。原因はローテーションに入っていたのを忘れていたからだとか。しっかりしろよなー。
かくして私は、ざんざん降りの雨の中ひとり待ち惚け〜待ち惚け〜をすることになりました。ようやくついた部長と二人で模擬店の体裁を整え、ようやく開店の運びとなりました。
雨上がりの模擬店でお昼ご飯を食べた後、神保町へと一人旅。道中高校の同級生から電話。お祭りを案内してくれという話だったのですが、道のりの半ばだったので悪いけど断る。広い構内でもないので楽しんでもらえたと思いたいです。
結局楽譜と参考書を買ったら三時を回っていました。楽譜の方はすぐに見つかったのですが、参考書は選ぶのに手間取りました。やっぱりキャッチコピーがあからさまだと手に取る気がしません。特に、コンコーネの表紙が典型的で地味かつ質実剛健を地で行くような硬いデザインだったので、一点参考書の「できる!」とか「たのしい!」といった文字が軽佻浮薄に見えて仕方がないのです。勉強というのは気になったところを熱心に勉強してみようと思うことが肝心なのだと思います。好奇心を上手く使うとも言います。たとえば三角形の合同を習うときも、本当に習った条件以外では合同を示せないのか、試行錯誤を重ねてみたりすることは、図形の世界の入り口へつながっているのではないでしょうか。それを「徹底反復して学ぶ!」とか言われると、私はついてを引っ込めたくなってしまうのです。
やっぱり自由自在を買うべきだと一度は思ったのですが、教え子がまだ4年生ということもあるし、少し別の参考書で試してみることにしました。
大学の模擬店へ戻ると、売り上げは順調なご様子。私は前日準備と同様、運営委員会の手伝いへと狩り出されました。
そこで与えられた仕事は委員会企画の片付け。ダンボールの残骸を抱えてゴミ集積所へ向かったり、シャープの液晶テレビを別の場所へ担いでいったり、インドア派の私には明らかに不向きな重労働をさせられました。ついで、ゴミ集積所で再分別の手伝い。大学祭ですから、運営委員会は徹底したゴミの分別を呼びかけているのですが、どうしてもいい加減な企画とかが出てきます。非協力的なお客さんもいます。そういったゴミ袋を再分別する仕事です。支給された雨合羽をはおり、軍手をつけて、いざゴミ袋漁りへ。
やってて思ったことを以下時系列順にずらずら書いてみます。
紙コップだけ別に分別しなきゃいけないなんて不条理だと思いませんか。生ゴミの中にビニールが混じってるのはきついです。運営委員の方は分別の正確さについての基準をもう少し徹底してください。竹串のついたお団子を紙くずと一緒に捨てて上からカキ氷のシロップをかけないでください手がべたべたします。どこの企画か知りませんが無分別のゴミ袋をお祭り仕様に着飾った女の子に持たせないでください服が汚れるといって分別を手伝ってくれません。そもそも再生可能な紙まで燃えるゴミに分別しないでください。
で、だいぶお疲れになった私を待ち受けていたのは、チュロスの店じまい。油で汚れた金網を長蛇の列に並んで洗う仕事。ああ、重労働重労働。
すべての仕事が終わって打ち上げに出発したのは夜の八時。
新宿の飲み放題&食べ放題のお店へみんなで繰り出しました。
ジョッキのビールに口をつけた瞬間、あ、うまいと思ったのは私だけではないはず。労働は美徳ですよ。神聖ですよ。でも、ほとんど企画を回れないくらい働かされるのは気に食わないですよ。そんなうらみつらみも一気に腹のそこへと流れてゆきます。疲れた体にすきっ腹、おまけにお酒を飲めない体質を兼ね備えた私が30分でジョッキを飲み干すのですから、アルコールの力というのは恐ろしいものです。
さすがに翌日が月曜日なので、二次会はなしで解散となりました。
それでも結構満たされたな。