僕らは虚構の中を生きている

所詮、世の中というのはうそでできているのです。
ウソをつかなくては世界が回らないのです。
例えば「紫外線は体に悪い」という嘘が一般的にまかり通っています。もちろん、紫外線は皮膚がんをはじめとする病気の原因ですし、オゾンホールの近くに住む人はサングラスを欠けていないと失明の恐れがあります。しかし、この温帯の日本にあって、多少日差しの強い日でさえ紫外線に気をつけねばならないというのは、少しおかしな話です。むしろ太陽光はビタミンの合成や小児くる病の予防になるなど、恩恵もあるわけで、一概に「晴れの日は日焼け止めサングラス&帽子」を求めねばならないというわけではないのです。ただ、日ごろめったに外へ出ない人が急に真っ黒に焼けようと思い立つのが危険だというのは正しい気がします。
と、これだけずらずら御託を述べれば、もうお分かりでしょう。紫外線は体に悪い、というのは、これだけ長い説明を省くために用いられている方便なわけです。
で、今日は実験で嘘をついてきました。
ちょぼっと実験に失敗して、所定の結果が出なかったので、理論的に予想される結果をノートに記述しちゃいました。で、それとは別に成功した実験結果のサンプルを友達に横流ししました。ま、みんなやってることです。私たち学生に求められているのは、事実の発見ではなく正しい実験操作なのですから、みんな多かれ少なかれへまをやらかす実験において成功例の流用は悪いことじゃない、と思いたいですね。
そして、実験のあと、今日は新しいうそのつき方を勉強してきました。
オペラのメイク講習とも言います。見た目のうそのつき方です。壇上は明かりが強いのですっぴんだと顔が真っ白に光ってのっぺらぼうになってしまうため、男もメイクせねばならないのです。
M口君を実験台にした甲斐あってか、まずまずのでき。僅かに色黒の肌と、鉛筆書きの鼻筋、横に伸ばした眉毛。
それにしても、女の人って毎日あんなにお化粧をしているのか……
顔を洗って化粧水をつけてパフで肌の色を決めて睫毛眉毛に目蓋、唇。
ほとんど道路工事だなぁ。悪口で言うわけじゃないけどさ。