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さて、空港に帰って、ベオグラード、そしてバニャ・ルカへの飛行機のチェックインをします。
ユーゴスラビア航空のチェックインカウンターで「ベオグラードまでの切符しかここでは出せません。バニャ・ルカまでのはベオグラードでもらってください」と言われました。何だそれ。
荷物のタグにはバニャ・ルカと書かれていますが、これで何かの間違いで私が航空券をもらいそびれたら、いろいろ悲劇です。
そんなことを考えながら搭乗時刻を待っていたら、到着が遅れた関係で出発が30分遅れでした。特に遅れることを謝る風でもなく、何事もなかったかのように飛び立つ飛行機。一抹の不安がよぎりましたが、この時はまだ、まさかこの日のうちにボスニアにたどり着けないとは思いもしませんでした。


ユーゴスラビア航空のボーイング737に揺られて1時間の空の旅。
ベオグラード"ニコラ・テスラ*1"国際空港は、比較的小ぶりながらも、セルビア共和国の表玄関として立派に機能していました。
目指すバニャ・ルカまでの航空券を手に入れねば・・・ってあれ?
出発予定の便一覧には、私が乗る予定だったJU106便の名前がありません。キャンセルのキの字もないのです。
あわててチェックインカウンタの人にたずねてみればダイヤが変わって明日の午前5時10分に変更になったのだとか。
予定一覧を見ると、まるでそこにあるのが当然であるかのように、JU1602便、バニャ・ルカ行きが設定されています。
こんな便、ユーゴスラビア航空の機内誌にも載ってなかったのですが、いつの間に設定したんでしょう?
これがセルビアクオリティか。恐るべし・・・!
以前、どこかのサッカー選手が絶好のポジションからゴールを逃したことについて「急にボールが来たので」というコメント、いわゆる「QBK」を残しましたが、この国は「急にダイヤが変わったので」がありのようです。
ところで、現在時刻は夜の8時半。10時には現地の研修先のスタッフの人と空港で落ち合う予定。
とりあえず、あすの飛行機の手配と、それまでの宿泊施設の手配を乗り継ぎの係の人がやってくれることになったので、宿の近辺で連絡を取ることにしましょう。
こうなると宿までの行き方が問題となるのですが、この点について係の人はこう言いました。
ベオグラード市内の直営ホテルまで、この人についていってください」
この人、と言って指差されたのは、一見ごくごく普通の中年女性。空港職員か何かで、勤務を終えて帰る途中でしょうか。
「この人も同じ便の人ですから、明日も一緒に来てください」
「はろー」
お客かよ!
お客にお客の世話をさせるのかよ!
確かに、このお客さんは英語もセルビア語も話せるみたいだよ!
私、英語と日本語しか話せないよ!
合理性を考えればそれが早いし楽なのかもしれないよ!
でも、なんか納得いかないよ!
というわけで、欧州情勢は複雑怪奇とか呟きながら夜のベオグラードへれっつごーになりました。
3時に迎えに来ますとか言うので、寝るに寝れないのですが、なによりシャワーを浴びて着替えができたのがうれしいです。一日半の空の旅の末、場所は違いますがやっと人心地つきました。
街灯は薄暗く、ホテルの部屋もあまりきれいではないのですが、寝床があるだけありがたいです。
さて、私と荷物は、無事目的地にたどり着けるのでしょうか。
仮に無事私と荷物の両方がバニャ・ルカについても、誰も迎えに来てくれなかったらやっぱり悲劇です。
私はきちんと研修できるのでしょうか?
うーん。いろいろ綱渡りだなぁ。

*1:電気系としてはこの名前に反応せざるを得ない