放射線と放射能の基礎知識

うちの大学で↑というタイトルの学内の勉強会があったので参加してきました。今日の日記はそれで取ったメモをば。
今週から来週にかけて他の学科でも同じ内容の講演があるらしいので、聞かなかった人は日程を確かめてみてください。


本文に入る前に。
※一応「つぃった等でダダ漏れさせないでください」と言われているので、私が記憶を頼りに書き出したものに、私の補足等を加えて書きます。この日記の内容に誤りがあった場合は、全て私の誤りです。
※原子炉について、あるいは今回の原発の件についての勉強会ではないので、そういった内容は有りません。あくまでタイトルどおりの内容です*1
※基礎的な知識なので、真新しい知識がない、という人もいると思いますが、つまりその人は正しい知識を十分持っていた、ということです。



1)放射能放射性物質放射線
放射能というのは、放射線を放出する「能力」のこと。
放射性物質というのは、放射線を放出する「物」のこと。
放射線には「α線(=ヘリウム)」「β線(=電子*2)」「γ線(=波長が可視光より短い電磁波)」「中性子線(=中性子が飛んでくる)」がある。
今回、数値として報道され問題となっているのはガンマ線*3
放射線は、あまり遠くまで直接届かない。原発の敷地内で観測される数値は、原子炉から直接飛んできているガンマ線による分が多い。そこから先は、飛んでいった放射性物質が発するガンマ線が観測される。


2)単位
放射線をどこで見るかで値が変わる。放射線源(放射線の出所)、空間的な分布、生物に与える効果で、単位が違う。
放射線源の単位:「ある放射性物質原子核一個が1秒当たりに1回崩壊する」と「1Bq(ベクレル)」となる。原子の数はものすごく多いので、例えば「10万ベクレル」という表現は普通にある。「Bq/kg」と書いてあったら「一キログラム当たりに含まれる」という話になる。
空間的な放射線量の単位:「1J/kgのエネルギーを持っている放射線」は「1Gy(グレイ)」となる。放射線の種類に寄らず、観測されたエネルギーの値。「Gy/h」なら「一時間当たりに観測された」がつく。
生物に与える影響の単位:「放射線を生物が吸収した量」を「Sv(シーベルト)」と呼ぶ。放射線の種類によって係数が違うが、ガンマ線の場合は「1Gy = 1Sv」となっている。


3)μSv/hとかmSv*4
1時間当たりに生身の生物が受ける放射線の量が「Sv/h」。報道で「毎時××シーベルト」と言っているのは、これ。一時間当たりの分量を観測している。
放射線の影響をどれくらい受けたか」は、その環境下にどれくらいの時間いたかの積算で表される。
例えば、「400[mSv/h]の空間に1時間」なら「400[mSv]被曝した」ことになる。でも、おなじ「400[mSv/h]の空間」でも、その場に居たのが15分なら、被曝は「100[mSv]」で済む。
1[μSv/h]の空間に1年いれば、8.76[mSv]被曝することになる。


4)被曝の問題
基本的には、一度に大量に被曝しない限りは「年間」の被曝量が問題になる。
地域によって違うが、年間に人は自然界から2.4[mSv]被曝する。住んでいる地域によっては年間10[mSv]被曝している人もいるらしい。空気中のラドンを吸い込んだり、カリウムK40、炭素C14などを食料として食べたり、あるいは宇宙からの放射線を受けている。日本は、世界に比べて平均して自然界から被曝する放射線の量が少なく、1.5[mSv]程度。その代わり、医療行為などで2.25mSv被曝している。
足し算すると、日本人は大体年間で3.75[mSv]被曝している。
これに、飛行機に乗ったりすると宇宙からの放射線をより強く受けることになるので、値が増える。頻繁に海外に行っている人は、年間で更に5[mSv]くらい被曝しているので、年間8〜9[mSv]被曝していることになる。
こういった被曝の合計が200[mSv]を越えたりしなければ、安全*5。500[mSv]とかを受けると白血球が減少したり、影響が出てくる。
急性、つまり何かの事故とかで一度に大量に被曝したとしても、この値に大きな変化はない。
すなわち「積算して被曝した量」が問題となる。瞬間的に高い値が出たといって、それが直ちに危険というわけではない。
逆に、微量の被曝が健康にいいとか、そういう話もあるが、目下研究中である*6


5)放射線防護
観測される値は「生身の人間が」受ける放射線の量なので、対策を講じれば被曝を減らすことが出来る。
具体的には、障壁(厚さの2乗に反比例)、距離(線源との距離の2乗に反比例)、時間(比例)のパラメータなので、分厚い壁を隔てつつ、遠くから、なるべく短い時間で済ますのが、放射線の飛んでいる所で作業するときの基本となる。
また、放射性物質は、体の外に付着した場合は洗い落とすことが出来るが、体内に入ってきたら排出とかも考えねばならないので、同じ放射線量でも、体外と体内、どちらで被曝したかで影響も変わる。避難勧告が出ている半径20キロというのは、放射性物質を取り込みやすい範囲。遠ければ取り込む可能性のある量が減り、問題とならなくなってくる。
6)放射線源の飛散
放射性物質」といっても、いろいろな原子がある。キセノンやラドンは常温で気体なので、気体として空気中を飛散する。セシウムヨウ素は常温で固体なので、ホコリというか、微粒子の状態で飛散する。
原発の敷地内では原子炉のある建物からの放射線が観測され、それ以外はこのようにして飛んでくる放射性物質が発する放射線が観測される。


とゆーわけで、正しい知識を持って慌てず焦らず落ち着いて行動してください。だそうです。



まーメモランダムなので、内容がとっちらかってますが、つまるところ、公開されている情報*7を見る限り、原発から30キロを超える範囲で生活している分には問題ないなぁ、と私は考えてます。

*1:果敢に原発の件について質問した学生もいましたが、情報を持っていないので答えられない、と跳ね除けられていました。

*2:陽電子の場合もあるけど基本的に電子

*3:それ以外は、例えばα線β線は止めるのが容易、中性子線は臨界に達した原子炉の中とかじゃなければそれほど問題ではない。

*4:1 = 1,000m(ミリ) = 1,000,000μ(マイクロ)ゼロの数を調整すれば、同じ単位で表せる。これは他の分野とも同じ。

*5:安全係数とかがあって法令上はもっと小さい値が採用されている

*6:とゆーことは、そんなに大きな影響は無いってことと思われる

*7:政府や東電だけでなく、茨城県などの自治体や組織が公表している観測値