早野先生の宿題(Ver. 1.0)

つぃったで今回の原発の件について、物理学の面から詳しく解説されている早野先生が【理系学生必修】なんてタグの付いた問題をつぶやかれていた。
こちらは古い答案なので、最新はこちらを。




Q1. 今,半減期8日のI-131原子核が10000個あったとします.8日後に何個残っているか答えなさい.最初の数が2個の場合はどうでしょう?

A1. 具体的に何個残っているかは数えてみないと分からない。
半減期8日」というのは「放射性物質放射線を放って別の物質に変わるまでの平均的な期間」というほどの意味である。
直感的には、10000個のI-131原子核は、8日後に5000個だけ残っていそうな気がするが、あくまで確率の問題なので、一つも放射線を放たないことだってありうるし、逆に全部放射線を放って別物になっている可能性もある。
つまり、1万個のI-131があったとき、8日後に何個残っているかは数えてみないと分からない。ただし、5000個の辺りをピークにした0〜10000までの確率分布であるとは思う。
2個のときも同様。

Q2. ヨウ素(I-131)が検出されたと報じられています.I-131であることを確認する原理を,100字以内で述べよ.

A2.専門じゃないので実際にどうやっているのかは分かりませんが、I-131はベータ線を放ってXe-131になるらしい。あと、原子量と原子の種類まで特定できるかどうかは知らないが、出来ないという前提ならばこう書けばよいのかな。
単体で存在している元素ならば、質量分析器で検出できる。I-131はベータ崩壊してXe-131になるので、原子量131の物質が検出され、別にベータ線も見つかればI-131が存在することが分かる。(98字)

Q3. I-131を検出するのに必要な測定器と,その測定原理について述べよ

A3. 質量分析器:対象をイオン化させて静電気力を加えると、質量に応じて加速度が加わるので、加速度の加わり具合から質量を推定することが出来る。I-131を直接検出できるなら、これだけでよい。
霧箱

Q4. I-131が出す放射線の種類をすべて述べよ.I-131であることが確認できる放射線の種類とそのエネルギーを述べよ.

A4. 放射線は、Xeになる際のベータ線と他に恐らくガンマ線が出る。ガンマ線は、電子が軌道を遷移するときに出す電磁波なので、もし、他の元素にないI-131固有の遷移があるのならば、それを検出してI-131の存在が確認できる。
・・・ってことは前の二問もこれを使えば答えられるんじゃないか?
ガンマ線の波長(周波数)を調べることが出来て、さらにI-131が放つ特徴的な波長が既知ならばいいじゃないの。
てことはあれだ。アンテナ代わりの金属板とX線とかの波長を観測できるスペクトルアナライザがあればいいんだな。

Q5. 放射性物質の崩壊とPoisson分布の関係について簡潔に述べよ.

A5. 放射性物質の崩壊については「ある原子核が一定時間当たりに崩壊する確率」を考えることが根本にある。すなわち、確率の世界あると同時に離散の世界である。また、一個の原子核について考えるのではなく、多数の原子核の集合を考える必要がある。これはすなわちポアソン過程なので、うまいことパラメータをつければポアソン分布に近似できる。

Q6. 半減期Tの放射性物質の個数Nの時間変化N(t)をあらわす微分方程式を即答せよ.

A6. 初期の個数をN(0)とすると、N(t) = N(0)*(2^(-t/T))となる。
よって、
dN(t)/dt = -N(0)*log2*(2^(-t/T))/T
このうち、N(0)*(2^(-t/T))はN(t)なので、
dN(t)/dt = -N(t)*log2/T
また、残った定数(log2/T)は壊変定数っていってλで表すらしい。


Q7. 天然放射線による被曝量が,その人が住んでいる地域によって異なる理由を,簡潔に答えなさい.

A7. 地質、土壌などによって含有する放射性物質の量が異なるため、地域性がある。ウラン鉱山や温泉地とかでなくても、カリウムK-40や炭素C-14の含有比は、その土地が形成された年代によって違うはず。他にも、極地方なら宇宙線が多いとかも考えられる。