宇宙の果ての僕ら

理学部の企画で「銀河系に充満する地球型惑星」なんて講演があって、東工大の井田先生がお話しするってんで、野次馬してきました。
理学部での講演といっても、専門的な話がぞろぞろ出てくるわけではなく、Newtonとかを読んでれば大抵の人が理解できる範囲に収まる入門的な感じで、かなり楽しかったです。Newton読んでる人がどれだけ居るかはまた別の話として。


一般的に、太陽系外の惑星を検出するときには、ドップラー法とトランジット法という二つの計測法が用いられています。
ドップラー法というのは、惑星と恒星が互いを引っ張り合うために恒星が移動することを利用した方法です。恒星が移動すると恒星が放つ光の波長が変化するために、その波長の変化から移動速度を検出し、移動速度から惑星の質量を求めます。最近の観測制度だと、秒速1メートル程度まで検知できるようです。何百光年も離れたところにある恒星が、人が歩く速度で動いているところを観測できるというのも、凄い技術だと思います。
トランジット法は、恒星の前を惑星が横切ることで、恒星の光の量が減少することを利用した方法です。これで、惑星の半径がわかります。
どちらも、観測時間が十分に長くないために、恒星に近いところを回っている惑星しか観測できていませんが、それでもかなりの数の星に惑星があることがわかっています。
中には、液体の水が存在していられるハビタブルゾーン内に惑星を持つ恒星も沢山あるみたいです。その数、夜空の星の3分の1くらい。
つまり、夜空の星を見上げてみると、3個に1個は生命を持っている可能性があるのです。
勿論、全てが地球のような星とは限らず、中にはほぼ全部が氷なのだけれど、太陽光が当たっているところだけが融けて水浸しになっているといった、不思議な星もあるようです。アイスクリームかよ!
様々な種類の惑星が、多様な軌道で分布しているために、惑星形成のモデルは未だに出来上がらず、モデルの提案が浮かんでは消えの百家争鳴状態らしく。中々にブームが起きているようです。行ってりゃ良かった理学部地惑。まあ、こういうのは素人が外野で眺めて楽しむ方が良いのですが。ブームが去ったら困るし。
最後に、他の惑星に文明があった場合、電波を通信手段に用いることは明らかなので、それを傍受しようという話が出ているらしいことを知り、電波屋としては胸が熱くなりました。



ところで、東電の今夏5200万kw確保の報道を「今まで隠してた」とか言いがかりつけてる人が居る。
夜に日を接いで火発を復旧させ、ガスタービンを調達し、揚水発電所の水汲みに回す電力を確保した東電の人たちがかわいそう過ぎるな・・・
「これまでの4650万kw」には、揚水発電所の能力が含まれていませんでした(参考)。火力発電所の発電量が足りないと、夜間の電力需要(冷房とか)に回す電力で手一杯になってしまい、揚水発電所で水をくみ上げるだけの電力を賄えないからです。
今回、震災や定期点検で停止していた火力発電所から110万kw、新たに調達したガスタービン発電機などで新たに100万kwを確保できたために、揚水発電所の400万kwも確保できるようになった、というのが本当のところなのです(参考)。
「東電が隠している説」の人たちによると、原発のありがたみを見せ付けるためにわざと足りないと言い張り停電まで起こし、それに対する不満が多かったので渋々確保したと発表した、ということらしいのですが、そんな単純な図式だったらどんなにか楽だったかと思います。
津波の被害を受けた火力発電所が、どれほどダメージを受けたのか、大口の客とどれほどの節電の契約を交わしているのか、確かに東電のプレスリリースは不親切で詳らかな情報公開が求められているのは事実です。ですが、それら全てを陰謀論的な形で片付けてしまうのは、感心しません。