とあるアニメについて

某アニメが最終回を迎えたらしいので、散々言われてるかもしれないけどネタを一席。
そのアニメの世界設定を考えるに、「魔法少女」を「技術者」に、「魔女」を「事故」にすると、事故対応に追われるエンジニアの物語になる。
働きすぎるとエンジニア自身が事故の原因になるとか、雇用主が福利厚生をきちんとしないと劣悪な労働環境では技術者が潰れるとか、非常に現実的な設定がなされていることがわかる。
事故に立ち向かう技術者、というのは非常に格好よい。しかし、そういう晴れ舞台というのは、むしろ避けるべきであり、当然事故の種類によっては労働災害も起こりうる。なんという現実的な物語展開。
そういう労働災害を目の当たりにすれば、評判の悪い雇用主と迂闊に雇用契約を結ばぬようアドバイスする人も出てくるだろう。大変現実的である。
そういった技術者であっても、若かりしころに何らかの夢を見て技術者になるのだ。それは、あるいは他人の幸せのためかもしれないし、自分の幸せのためかもしれない。だが結局、技術者たちが若いころに見ていた夢は、必ずしも現実になるとは限らない。うん。現実的現実的。
最終的に、メンテナンスフリーの社会を希求するというのも、実に現実的。メンテナンスフリーだから技術者が不要というわけではなく、むしろ科学技術に支えられたユビキタス社会においては技術者という存在は消えないにもかかわらず、事故に立ち向かうという場面を失うのみなのだ。なんという圧倒的な現実。
というわけで、あのアニメが多くの人の共感を呼んだ(らしい)のは、決して偶然じゃないと思う。
ただし、あのアニメのテーマは技術それ自体が事故の原因であるという隠喩を含んでいるかは、視聴者の解釈次第かもしれない。


ちなみに、これだけ散々書き散らしておいて、本編は全然見てなかったりする。