剣岳

というわけで、今日は剣岳に登りました。
昨日と同じか、昨日よりも酷い霧の中、山頂を目指します。
現代になって一般登山客でも登頂できるようになった剣岳ですが、難所が多いために、山小屋から直線距離にして3キロほどの道を、水と弁当だけの軽装であっても、片道2〜3時間かけて登ることになります。
まず最初に、山小屋から一番近い一服剣と呼ばれるピークを目指します。山肌は早くも岩だらけとなり、時おり鎖を頼りに崩れやすい斜面をよじ登るようになりますが、ここはまだ序の口です。一服剣を越えた辺りで稜線に出るのですが、斜面が急になるために殆ど稜線から離れられなくなります。ところが、その稜線が細く、また、急激に標高を変えるために移動が大変になるのです。登っていて気付くのは、崩れやすい山肌と、鎖無しでは登りづらい岩の固まりとが交互に尾根を形成しているということでしょうか。中々安定して登れるルートが無いのです。行きは「急な山に登る」という意識が働いてそれほど事故が起きたりはしないのですが、下山時に油断して滑落する人が多いそうです。崩れやすく、あるいは滑りやすくて急な斜面は、登りより下りの方が難しい。
剣岳のクライマックスは、蟹の縦這い、横這いと呼ばれる鎖場です。大きな岩を、鎖と己の手足とでよじ登らねばなりません。

それにしたって、この岩を「よじ登れる」と判断した人は、余程の目利きか底なしのアホウかのどちらかだと思うのですが、どうでしょうか。霧の中だったとはいえ、ゴールが見えません。
十分くらいかけてよじ登り、しばらく行くと、山頂に着きました。景色が無いためにあまり感動できませんでした。
ちなみに、もう一つの登頂ルートとして、早月尾根という別の尾根から登るルートもあるのですが、こちらは距離があるために、流行らないのだとか。


風も強くなってきたので、早々に引き上げ、山小屋においてきた荷物を回収して室堂へ帰りました。地獄谷の湯を引いた温泉宿で、旅の疲れを癒します。夜には雨が降り出し、未明には風が出て嵐のような状態になりました。