抗日(?)映画

前に何かで読んだのですが、中国では日中戦争を扱った抗日ものでシナリオを書くと映画やドラマの企画が通りやすいのだそうです。そのせいか、製作者の趣味を前面に押し出して普通なら予算がつかないような企画まで公開されてしまうのだとか。その一つっぽいものが広州行きの飛行機で*1放映されていたのでご紹介します。なお、放映に気付かず途中から見たために映画のタイトルや登場人物の名前は適当です。液晶の画質が悪く、字幕も小さくて見づらかったため、筋書きもだいぶ適当につじつまを合わせています。


時に193X年!日中戦争も佳境のおり!中国では謎の疫病が猛威を振るっていた!ひとたび感染すればたちまち死に至る疫病を前に、人々は恐怖していた!そして、ついに日本軍の大佐が特効薬の開発に成功したのである!この特効薬の秘密を奪うために大佐を拉致すべく立ち上がったのは若い男女4名!板前、京劇役者、女中、医者!!



……なんだこの組み合わせ
私は、大佐が拉致された後のシーンからしか見ていないのですが、大佐を監禁していた料理屋のセットは提灯の赤い光や京劇の舞台せっとなどで幻想的な色合いになっており、一方で外の景色は土埃の舞う殺風景なつくりにするなど、舞台芸術がなかなか凝っていました。建物の中は様々な仕掛けが施されていて、からくり屋敷みたいですし、役者の動きは京劇のような間をとって動くなど、画面を見ているだけでもエンターテイメントとして成立しています。
拉致された大佐を奪還するべく日本軍が追手を差し向けるのですが、怪しい忍者軍団だったり上半身裸の謎の決死隊だったり覆面歩兵隊だったりなんだかよくわかりません。要は日本的なものがどこかにあるか、とりあえず日の丸さえ振り回してれば何でもいいのでしょう。だからって駐屯地の真ん中にやぐらをこさえて和太鼓ドンドン叩くのはどうかと思いますけど。そんな敵キャラ日本人の名前は「小笠原」のようなパッと見て日本人とわかるものが使われていました。セリフは細かく見ていませんが、基本的には少数で多数の敵をどう相手にするかとか、登場人物の知恵の使い方だとか、ドンパチアクションとか、そういうところが見せ場なのであり、プロパガンダ的なものは感じませんでした。「敵はナチス」と同じように、この映画では「敵は日本」が枕詞に使われているだけなのでしょう。「敵は日本」と書くだけで敵味方や舞台背景、時代に至るまで説明できてしまうのだから、便利なわけです。
ちなみにこの映画の日本人は日本語をしゃべります。脇役の日本語の発音が怪しすぎますが、主役級の人などはネイティブです。日本人はまず見ないであろう映画に発音の良さを追及してもしょうがないのですが、どういう人が役者をやってるんだろう。

機内食は普通の機内食の味でした。

*1:メルボルン行きはダイ・ハードの最新作とかだったのに、なんで広州行きに限ってこれなんだ